それでも僕は君を離さない
私はスラスラと言葉をつないで

最後にこう締めくくった。

「ご質問はありますか?」

「いつなら会える?」

先輩の低い声にはあきらめが感じられた。

それは私の気のせいかもしれなかった。

「今返事をしなければいけませんか?」

「メールでいいよ。」

彼は席を立った。

「奈々、俺はもう会えないと思っていた。」

そう言ってラボへ戻って行った。

私は手元のファイルをまとめながら

自分の気持ちが恋愛に向いていないことを悲しんだ。

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