それでも僕は君を離さない
「違います。」

「じゃ何?」

「ずっと好きでした。今も。その気持ちを今まで閉じ込めて過ごしてきました。それがあふれてしまって堪えきれなかったんです。」

「良かった。奈々が俺を好きでいてくれて。俺も同じだから。」

「本当?」

「たとえ坂下を選んだとしてもそれでも俺は君を離さない。最悪の未来を想定していた。」

「本当?」

「この続きは土曜日にしよう。覚悟してろよ。俺の気持ちはあふれるなんてもんじゃない。大洪水だ。」

私はまだよく飲み込めてなかった。

「それから坂下にメールしろよ。寄りを戻したって。」

私にとってそれは難関だった。

透吾さんを傷つけることになる。

でも避けて通れないことだ。

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