歪んだ愛しさ故に
 
「お疲れー」

「あ!上沢さーん!!」


一人遅れて登場してきた男の姿に、さっきまで合コンの話で盛り上がっていた彼女らは消え、
一斉に黄色い声が響き渡った。


「お疲れ様ですー!
 こっちの席、空いてますよ!」

「そう?ありがとう」


と、笑顔で空いていると言った彼女の隣……
つまりあたしの目の前の席へやってきたのは、



「盛り上がってる?」

「はい!」



上沢 拓(カミザワ タク)先輩。
あたしより2つ年上のやり手社員だ。


彼の容姿はずば抜けてカッコよくて……。
短すぎない黒髪に、切れ長のぱっちりとした二重、整った鼻筋。
180cm近い長身は、スマートにスーツを着こなしてさらにスタイルの良さを演出していた。


「今まで仕事してたんですか?」
「そー。ちょっとトラぶっててさー」
「え!大丈夫なんですか?」
「ん。とりあえずは」
「さすが上沢さん!」


必要以上に彼をほめたたえる彼女らの姿を見て
心の中でつい半笑いをしてしまっているあたしは、多分すさまじく性格が悪い。
 
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