歪んだ愛しさ故に
健太はいったい、どういうつもりでそんな誘いをしたんだろうか……。
この様子からして、玲子さんは多分何も聞かされていない。
あたしと健太の過去のことを……。
そして健太が、再度あたしに告白をしてきたことを……。
何も知らない無垢な二つの瞳が、じっとあたしを見つめて、
早く答えないといけないと、どんどんと心が追いやられる。
「健太って誰?」
何も答えないでいるあたしに、隣にいた拓が当然の突っ込みをしてきた。
「あたしの彼氏」
「なんでまた……」
「この前、琴音と二人で飲みに行ったとき、一緒に送ってもらったから面識があってね。
それで二人の関係を、ちらっと話しちゃったんだ」
「めんどくせーことを……」
二人の会話のおかげで、あたしの心も少しだけ冷静さを取り戻していった。
ここで下手に拒んだら、余計に怪しまれる。
まだ玲子さんは何も知らない。
健太だって、たとえ一緒に飲みに行ったとしても、二人の手前、何かしてくることはないだろう。
社交辞令としてでいい。
ここは素直に頷くだけ。
軽く息をのむと、笑顔を無理やりつくって玲子さんへと向けた。
「そうですね。
機会があれば行きましょう」
実現するかどうかは、この先のあたし次第だ。