歪んだ愛しさ故に
だけどそんなこと、俺に許されるもの?
俺が彼女を好きになっていいもの?
あの日、散々、葵という子を傷つけておきながら
のうのうと俺が恋愛なんてしていいはずがなくて……。
だけど日に日に積もっていく
彼女を自分のものだけにしたいという独占欲。
もしももう一度、俺が誰かを好きになることを許してくれるなら
これからの人生を、すべて彼女にささげるから……。
だからまず、
今の俺がしなくてはいけないこと。
それは心に深い傷をつくらせてしまった
葵にちゃんと謝ること。
知り合いのツテをつかって、ようやく掴めた葵の勤め先。
あの日、会いに行ったのは、決して容易な気持ちではなかった。
手が震えていたのは、寒さのせいだけではない。
だけど震える手をなんとか抑えようと、必死にコートのポケットに突っこんで、震える手を誰にも見せないようにして……。
そして目の前に
ようやく彼女が現れた。