ラブレターを貴方に
言い出せない真実
『ええー!?あんた、それで何も言わなかったの?信じられないわ』
その晩。
この日一番の愛の大声が、携帯からこだまする。
「だって、あんな嬉しそうにされたら、言えなくもなるよ」
『まさか高橋が二人いたとはね~、てか、普通そこ調べるでしょ?フルネームで何故頼まないかな?』
「……高橋さんの名前、知らないもん」
『はい!?知らないで頼んだの!?』
「だから、ちゃんと“紳士服のエースの高橋さん”って言ったもん!なのに、何で眼鏡くんかな~」
私はう~う~と頭を抱えると、ベッドにバタリと身を放り投げた。
確か、眼鏡くんに会ったのは、あの時の食堂で。無口な彼は、全く存在感がなかった為、私の記憶にも残されていない程だった。
そんな彼が、エース?どう考えても納得いかない。
『……ねぇ、高橋翔太って、もしかしてあの高橋翔太?』
暫くの沈黙の後、愛が口を開いた。