お姫様と若頭様。【完】

彼女の強い瞳と、
何か思いものを抱えた闇のある瞳に
凄く惹かれた。


性格なんて俺らについて回る女たちとは
全く違って、それがまた惹かれた。


俺らに皆と対等に接してくれて、
ヨルが好きになった理由がわかった。






あの子ほど、
俺らを救ってくれる子はいないと思う。

俺らを理解してくれるのはきっと、
彼女だけだ。




ヨルはずっと女関係で苦しんで来た。


すぐ浮気をしてだらしのない母親、
男を誑かして道具のように扱う姉、
裏表が激しく人を虐めるのが好きな妹、


そしてそんな女たちに囲まれた
父親とヨル。



父親は母親(妻)に耐え切れなくなって
1年前家を飛び出した。ヨルを置いて。






それからヨルは完全に女嫌いになって、
一切女を寄せ付けなくなった。


もともと倉庫へ来る女は少なかったが
下っ端たちの判断で完全禁制になった。


いつも暗い顔をしていて、
女の名前さえも嫌悪感を見せた。
















そんなヨルが、だ。



ある日、面白い女を見つけたと言う。




『本当に可愛くて綺麗な子なんだ。

俺のこと知らないっぽくてさ…
助けてくれてありがとうって
本当に申し訳なさそうに謝ってくんの。


媚売るどころか、
あんなに純粋そうで…でも雰囲気がなんか周りとは違って…面白い子』


"面白い子"



あのヨルが、女に興味を示した。


そして俺たちのことを知らず、
媚を売って来ない女。

それだけで俺はその子に惹かれた。

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