お姫様と若頭様。【完】


「聖、お前はこっちに座れ」

そう言ってひじりんを促す聡さんは
全く俺たちの方を見ていない。

なぜか凄く嫌われているようだけど…。


「パパ、皆に挨拶くらいしてよ」


…パパ?

あれ、そう言えばさっきもパパとか呼んだような…。


「…ねぇひじりん、ひじりんって……」


「あ、うん。言ってなかったっけ?

私のパパだよ」


何でもないように言うひじりん。


…って、え!?!

ひじりんて確か苗字…英捺じゃ…?



「あ、私それ母方の祖母の苗字なの。

峯ヶ濱っていうと色々大変だから…」


色々大変…か。


「黙ってるつもりはなかったんだけど、
言うの忘れてて…ごめんね?」



…なんだか凄くひじりんらしくて
力が抜けてしまった。

そんな大事なことを忘れたって…。



「すみません、挨拶が遅れました。

彩狼総長の陣宮 泪です」


「聖の父の峯ヶ濱 聡だ。


まぁ大体は凱瑠から聞いてるが…。

一応お前らにも説明してもらおうか」


そう言う聡さんはどこか殺気を含んでいて…やはり紅蓮の中でも強かった人だ。

殺気は少しと言えどとても鋭い。

今は全くそっちの職種じゃないのに
現役並みの殺気だ。

相当聖を大切にしているのが伺える。





…ただこの人を親バカと言うのは
かなり気が引ける。


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