お姫様と若頭様。【完】
ー数分後ー
俺たちの周りに敵は一人もいない。
敵を全て一人で片したこいつ、飯島。
まぁもう会うことはねぇと思うが。
そう思って背を向けた時、
腕をパシッと掴まれた。
意外にも強く掴むこいつに
自然と眉間に皺が寄る。
「あんま派手にやるんじゃねぇぞ」
そうぶっきらぼうに言った男は
別に礼など求めていなかった。
やっぱり律儀な男だ。
戦っている時とのギャップが半端ない。
「あぁ…」
だから俺も何も言わずに
今度こそその場を去った。