彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】

椿……妻となった君と過ごした、四年の歳月に───




──『知っていることを、全て教えて欲しい』

──『許しなどいらない。不貞の罪で、早く、私を殺して』



君が、私の目を見て話してくれたのは、二度だけ。




──『真……が………生きて………いた……の……』

──『自害じゃなくて───ようやく死ねる………』



君が、私の前で微笑ったのも、たったの二度だけ。




全ては愛しい人のため。


私ではない………たった一人の男(ヒト)のため。



─────椿。



君は、全てを捨てて恋をした、潔き花。


雪の白をも溶かし、何にも染まらぬ美しき花。


甘く香らずとも、今も私を魅了してやまない妖しき花。



………死することを厭わない、誰も触れてはならぬ花───




その最期の望み通り────この雪舞う空の下のどこかで、


君は新たな生を受け、生まれ落ちているのだろうか………




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