彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
雨の日 の 君

    ★    ★


「───もー……参ったな……。

イマドキの中学生のキラキラパワーは、恐るべしだわ……」


傘をさして歩く俺の隣で、はぁっと小さくため息をつくのは、

トコちゃん……改め、

現在二十歳になった、俺の叔母・トーコさん。


国立大学の教育学部に通う彼女は、駅前の塾で講師のバイトをしている。


今日は……夕方前に降り出した雨。


パートに出ていたばーちゃんから電話で頼まれた俺は、

傘を持って、25分くらい歩き、トーコさんのバイト先まで迎えに行った。



「大磯さんも佐藤さんも、便乗して悪ノリするんだもん。

なんか……騒ぎになっちゃって、ごめんね……」


別に謝ることでも、なんでもないんだけども。


申し訳なさそうに、しゅんっ…としてるトーコさんが可笑しくて、


「………俺、弟なんだっけ……ばーちゃん、“実の母親”ってか?」

なんて、意地悪を返してみる。


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