彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】

「な……なぁに?」


「ごめん……充電させて……」


腕の中のトーコさんは、「え? あの……うーんと…」とちょっぴり慌てながらも、


「……たい焼き冷めるから、高速充電で」


と、答えた。



「なんだ、たい焼きに負けた」


わざと寂しそうな声で言ってみる。


「───そうじゃないけど……」


「なに?」


「だって、家だし……?」


「……うーん……そだね」


返事とは裏腹に、腕をいったん緩め、部屋のカーペットに移動し、そこにトーコさんも座らせると、

もう一度ぎゅう…っと抱きしめた。



「落ち着くんだ、くっついてるとさ」


「なに、ぬいぐるみ的扱い……」


ふふっ…と笑ったトーコさんが、


「なんか……郁生くん……」


「ん?」


「しっかりしてて大人っぽいかと思ったら、案外…甘えんぼう……」


「だって───5歳もおねーさまでしょ? 優しくしてよ」


すると───なぜかトーコさんが焦ったように声を上げた。


「なんか、やらしー、その言い方!」


< 64 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop