キミのイタズラに涙する。


「うん……」


小さい声で答える彼女が


愛おしい。


憎たらしいって感情は何があっても心の中に抑えておくことが出来るのに


愛おしいという感情は何かをきっかけに


簡単に溢れ出す。


「じゃあさ、外……散歩行かね?」


人って誰かを愛すようになっている。

憎しみよりも愛情の方が簡単に表現出来るようになっている。


それは、今の俺にとってとても厄介な事だった。


「外冷えるか……?」


「ううん、いっぱい着込んでるから大丈夫」


病院の中の庭を一緒に散歩する。


季節はもう2月だからか、外はかなり暗かった。


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