SWEETPAIN~冷たい旦那サマは副社長~
俺の言葉で麻友は、のろのろと前の椅子に腰を下ろした。



俺と麻友を奇妙な空気が包み込んでいた。




俺は湯気の立つコーヒーに手を伸ばす。




この歯痒い空気を何とかしたいのだけど、脳内は真っ白で言葉が浮かばない。




「…このトースト…柔らかいけど…モチモチしていますね」




口火を切ったのは俺じゃなく麻友だった。




「ん、あ、そうだな」



俺もトーストを齧った。




「蓮人さんはトーストに何も塗らないんですか?」




麻友の言う通り、モチモチしているけど…味がないと思っていた。


彼女に指摘され、トーストに何も塗っていないコトに気づく。


俺は一体何してんだ?



「塗るのを忘れただけだ…」



俺はトーストに慌ててバターを塗った。

「…これから、蓮人さんの奥サマとしてしっかり頑張りますから…よろしくお願いします」




麻友はペコリと俺に頭を下げる。



その拍子にハラリと長い髪が前に零れた。それだけでドキッと鼓動が高鳴った。












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