ぶさいく。



気持ちの浮き立つのが
分かる。


春の陽気は、普段それほど元気のない私にも不思議な力を与えてくれる。


ふと気がつくと、

ご機嫌な鼻歌が口をついて出ていた。



慌てて口をつぐみ、

周りに人が居ないかどうか急いで確認する。





幸い、まだ朝早い時間なので生徒は居なかった。


しかし、体育館の裏の入り口に教頭先生が立って
わざとらしく伸びなんかしている。



目が合うと、

訳知り顔で笑われた。



恥ずかしくてうつむき、桜の樹の下から走り去る。



先生に聞かれただけでも、身が縮こまる程恥ずかしい。




何でもないことなのに

朝から少し憂鬱になった。



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