弟系男子が『弟』をやめた時。



「え…何?」


いきなり名前を呼ばれて戸惑う私。


眞樹原はそんな私のそばに屈んで

私の目を覗き込んだ。



上目づかいで黒目がち、


思わず吸い込まれそうな瞳で見つめられ


一瞬、心臓が跳ね上がりそうになる。





「…。」



え、何?この時間。



お互い見つめ合ったままで数秒流れた

静寂の時間。




その静けさを打ち破ったのは

眞樹原のこの言葉だった。





「俺、永澤より似合うくない?」







「」






思わず食べかけの卵焼きを床に落とす。



ボトッと落ちた音を合図に


皆は一斉に爆笑した。




「永澤ーっ!反応よすぎ!」


「リアクション芸人かよお前っ」


「稟マジ正論な」



ゲラゲラと皆が笑う中で


眞樹原は超絶生意気な顔で笑ってくる。





本当、腹立たしい奴─────






私が眞樹原が嫌いな理由、



『私だけ』に妙に突っかかってくるから。









< 8 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop