First love〜約束〜







私は、初めてデートした日のことを、思い出した。





高一の夏休みの、最後の日だったよね。





前日にほぼ徹夜してまで、バカな私の宿題を手伝ってくれた、春斗。





春斗は優しかったね。





最初に…映画を見たんだっけ?




私、号泣しちゃったんだったね。





そのあと、この海に来たね。




春斗は、この海で色々なことを話してくれた。







幸せだった。本当に幸せだった。








あの日の記憶が、昨日のことのように思い出される。








「……っ…はる…と…」








笑えない…。





笑えないよ…。







弱い彼女で……ごめんね。




泣き虫で……ごめんね。





こんなに好きなのに、最後まで何もしてあげられなくて……ごめんね。








いっぱい、ごめんねって言いたいことがある。






だけど…。






いっぱい、ありがとうって言いたいこともある。









春斗…。







遠距離恋愛になっちゃったね。






だけど、私もいつか会えるその日まで、ずっとずっと春斗のことだけを想ってるよ。








春斗が書いた手紙、みんなに渡すね。







葵と夏生にも、誕生日が来るたびに読んであげるね。






だから、安心してね…。






春斗、聞こえてる?








溢れる涙で、頬が濡れる。







それでも、私は言った。








「………春斗…愛してる。ずっと、ずっと、愛してる」








当たり前だけど、返事はない。





でも、私は信じてる。





この言葉が、君に届いていることを。





この言葉を聞いた、君がみんなを見守ってくれていることを。






そして…。









いつか、君に、また逢えることを…。








< 238 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop