First love〜約束〜

手の届かない存在

新学期が始まったけど…。


私の心は沈んでいた。


春斗とは気まずくなってしまったあの日から、全く話せていなかったから…。


春斗は私のこと…仲の良い幼馴染だとは思っていなかったんだ。


普通の幼馴染より結構仲が良いと思ってたんだけどな。

あんな風に言われるなんて…。


まあ、私も昔は春斗のこと、幼馴染だなんて思っていなかったけど。

好きだったから…。



でも、今は違う。

春斗のこと、確かに好きだけど、それは恋愛感情じゃないはず。


だから、春斗と楽しく話したかったのに。


最悪……。


「リオ〜!おはよぉ〜」


げ。絵理沙。


朝っぱらからキャーキャー騒がれて、最悪な気分が増したよ。


「お、おはよう…」

それなのに笑顔であいさつする自分が嫌になる。


「ねぇねぇ!あっちにさ、超イケメンの転校生が来てるんだってぇ〜」


ふ〜ん?だから?それがどうかしたの?


とは言えないから…。


「へぇ!そうなんだ〜!」

と、言っとく。


「うんうん!ちょっと見に行こうよ〜」


手をぐいぐい引っ張られてものすごくうざかったけど、我慢。


って……………。




は?





そこには女の子たちに囲まれている、



春斗がいた。



「やばくないっ!?めっちゃかっこいいよね〜!」


イケメン転校生って…春斗のことだったんだ…。


確かにあいつ、昔から女の子に囲まれてたよね。


小学校三年生くらいからだけど。



「えりさ、彼のこと好きになっちゃったっ!」


絵理沙は私にそう言った。



そのとき……。


ズキッ。


胸が痛んだ気がした。


「リオ?どうしたのぉ?」


絵理沙は不思議そうに私の顔を覗き込む。

「あ…ううん!なんでもないや〜」

適当に誤魔化するけど…。


さっきの胸の痛みが気になる。

気のせい…かな?

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