御主人様のお申し付け通りに
「うちのあの孫なんじゃけどな。あまり言い広めたくはないがね…」

と、お爺さんは私を手招きして、小さな声で耳元で囁く。

鬼畜って?

「メチャクチャ優しい男なんじゃよ?☆」

うーそーだーーーー!!!

その言葉に私は驚き、パンチを喰らったようによろめいた。

「納得できるじゃろ?」

何も言えません。

「背は高いし、顔もいいし、スタイルもいいし、おまけに無口で、性格がまた花丸の二重丸じゃ」

性格悪いの二重丸でしょ。

「頭もいいし、体力もある。そして最後に優しい。…どうじゃ?絶対一緒に住んだら、惚れるぞ~」

惚れる訳ないし。

「あの、お爺さん?自分の孫を美化して誉め過ぎてない?」

ちょっと、ボケてるのかな。

「あの子に頼ったら、損はないぞ?」

「あの方が、私では嫌がりますって」

「それはないな」

キッパリ言う根拠は何なんだよ。

「年も近いし、わしは曾孫の顔を楽しみにしておるよ。ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ…」

「くっつけたいんか!」

思わず、ズッコけた。

アイツ、自分の身内の中では猫かぶってんだな。

それで、そのストレスを他人に向けるって訳か。

他人の私に。

最悪もかなりマックスじゃん。

ド性格悪いってば。

それを進めてくるとは、なめられたもんだね私は。

なめた扱いしてるのは、どっちだよ。

永田のバカ!

あれから数日間、永田は一切私をガン無視し続けている。

いや、いいよ。

好きに無視したら。

それより何より、自分のこれから住む場所をまた探さなきゃならない。

母が野菜を宅配便で送ってくれたので、母に電話をかける。

「トシちゃん、頑張ってる?」

「ねぇ、お母さん。前の旦那ね、東京に転勤になっちゃったんだってさ」

「あらら、また遠いね。でも、もうあんたとは縁は切れたんだから関係ないじゃない」

「だけどね、もう外食して美味しいもの食べに一緒に行ってくれる人が居なくなって寂しいよ」

「おごってくれる人だって言いたいんでしょ?あんたはもぉ!」

「そうだけど、離れちゃうのは悲しいよね」

「あんたが離れて行ったんでしょ?全くもぉ!」

そうなんだけど、そうなんだけど!

「それがさ、アパートも追い出しくらうみたいなの。貸し駐車場にするそうだよ。だから、なんとか実家に戻れないかなぁ?」

私は、お母さんに聞く。

「あらあら、大変。だけどお父さんは絶対戻って来るなって言ってるから、家は今のところ無理よ」

ガーーーン!!!
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