御主人様のお申し付け通りに
「永田、怒ってるの?」

「怒ってるよ」

「何で怒るの?」

永田は、私の首筋から鎖骨にかけて、口唇を滑らしてキスをする。

急に肩の先を軽く噛まれた。

「…んっ…」

その低刺激に声が出た。

すると、永田は言った。

「俺をナメた扱いしたからだ」

「…それだけ?」

「約束やぶって嘘ついたからだ」

「…それだけ?」

「おまえ勘違いして、何か俺に聞き出そうとしてないか?」

なぞっていく口唇の微かな感触は、徐々に下っていく。

そして胸の先を噛まれた。

「痛っ!…」

「この痛み忘れんじゃねぇぞ」

もぉ!本当に訳分かんない。

私の質問、はぐらかされた。

「それから、肝心なこっちも躾てやらないとな…」

いきなり、脚を持って…。

「ふぁぁっ!」

突然の痛みが走った。

「さすが男好きだねぇ…やりなれてる感じが伝わるぜぇ…全くもって、いやらしい女だぁ…」

「あっ…やっ…」

「嘘つき女…」

「痛い!…」

コイツ、わざと私を挑発するんだから…。

本気でムカツク!

「何が痛いだ…痛いに決まってんだろ?…これが俺の洗礼だぁ…」

「最低!…」

永田は動きながら、

「最低?…最低はどっちだよ…おまえのが最低じゃん…そんな欲しそうな顔しやがって…」

何度も何度も、わざとまた同じ言葉を言ってくる。

責められて何故だか私は声を漏らした。

「あっ…」

「離婚した相手と平気な顔して、朝帰りしやがって…とんだ非常識女だ…」

私は息を小さく刻みながら、言葉責めを受ける。

すると永田が私の顔に、自分の顔を近付けて、鼻先を擦りながら、下から上へと私に視線を合わせた。

「なに?…何なの?…」

「…べ…つ…に…」

ダ…ダメだよ…そんな表情…反則っ…!

そして私は、完全に骨抜きにされた。



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