御主人様のお申し付け通りに
「何で私の名前を…?」

私は思わず見上げた。

その瞬間の永田の瞳が、どことなく揺れていた気がして…。

「…んっ?…」

「な、何でも…ないし…」

やだな…、近くで見ちゃったもんだから。

私も揺れるじゃんよ…。

どうしてくれんだ、なんて。

私のセリフじゃんよ…。

自分の用が済むと、シャワーで身体を洗い流して、すぐに永田は出て行った。

何も言わずに。

私は、どうしたらいいわけ?

あんなモノを間近で見ちゃった。

彼氏でも友達?でもないのに。

こんな事、好きな男ならば、喜んでも足りないくらい幸せなんだろうけど。

どうでもいい男の身体を洗うだなんて。

タダじゃないんだから、それこそ金貰いたいところなんだけど!

でも、やっぱり…カッコいいは、カッコいいんだよね。

顔は嫌いじゃないんだぁ…。

キリッとした古典的な平安貴族みたいな、上品な顔立ちっていうの?

瞳がキレイな人って、嘘付かないってよく聞くし…。

ダメダメ!

しかしながら、アイツの強引過ぎる態度と独裁者なみの暴言は許すまじき行為だ!

絶対どっかでギャフンと、かましたる!

……。

あっ…。

でもまた、あの時のアイツの顔を思い出しちゃった。

……なんか、変な気持ち。

ドキドキするような、ピクピクしちゃうような。

何だか、身体が熱くなってきて、やたらかゆいし。

私は身体中を、かきまくった。

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