御主人様のお申し付け通りに
「優しくするって言ったじゃん!」

条件反射で本音を言うと、睨み付けられる。

「おい、おまえ勘違いしてねぇか?俺がおまえに優しくするってのは、普段の時だけだ。セックスの時は別だ」

「なんじゃそらぁー!」

しかも、

「セックスで俺に口ごたえは一切許さん。嘘付いて俺を傷付けて悲しませたんだから、尚更いつもより、しっかり命令に従ってもらわなきゃなぁ」

永田の低い声が響く。

でも、今回は本当に申し訳ないという気持ちを抱えながら、永田様の命令に忠実に従った。

「口ごたえすんなっつてんだろが!」

と、やたら熱が入ってたな、あのド変態。

少し眠ってしまったみたい。

気が付くと、永田の腕枕。

それから目の前には永田の喉仏。

「ん…私、眠ってたの?」

「起きた?」

私はギュッと、しがみつく。

「イビキかいてたよ」

「やだな、起こしてよ。恥ずかしい…」

それ不親切だよ。

「寝顔が可愛かったから、ずっと見てた」

「うまい事、言うんだから…」

また、急に優しい口調になってる。

「疲れた?」

やだ…、息が当たるように言うからドキドキする。

私は小さく、頷いた。

そして顔を近付けながら、眉をピクリと動かして、低い声で一言で訪ねられる。

「ん?」

この顔、好き。

照れながら、

「ちょっとだけ疲れた」

上目遣いして、小声で答えた。

「そっか」

私は目が合う寸前に、恥ずかしくてまた、視線を下へと向けてそらす。

「どうした?恥ずかしい?照れてるのか?」

私はまた小さく頷く。

「…そういうとこ、結構好きだな」

改めて真面目に言われると、反応に困るってば。

「俺も恥ずかしいから、キスして?」

永田ってば、可愛く頭を傾げる。

私はまた黙って頷いて、口唇にキスをした。

「ベロなめて?」

私は口から少しだけ出された舌先を、吸うようにして舐め続けた。
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