御主人様のお申し付け通りに
answer 俺の可愛いトシコちゃん
結婚式はトシコの誕生日。

って、バージンロードからトシコが歩いて、もうすぐ俺の所へやって来る。

こんな日が、本当に俺にもまたやって来るとは思わなかった。

アイツは、本当に…。

なんだよ、あのツラは…。

歩き方、あんなに練習したのに。

全然うまく歩けてなくて、しかも全然俺の事が見えていない。

…イライラするから、さっさと来い。

再婚なんて、正直しないって思ってた。

女なんて、秘密事をいくらでも抱えて生きている。

その場しのぎで、他人を利用して。

不必要となりゃ、またすぐ気持ちを簡単に切り替えて切り捨てる。

そうかと思えば、心の芯には自分自身の決めた頑ななまでに譲れないモノが、大きく存在していたりして。

初婚で、他人に裏切られるつらさを俺は、恐らく今までの人生で初めて味わった。

そして、そうやって頑ななまでに譲れないモノを表に振りかざして、自由だの自分らしさだのって、一方的に離婚したトシコと再婚する俺…。

「ここで立ち位置いいの?」

この雰囲気で、牧師に気安くタメ口で聞く、世の中なめてるトシコと。

「では、はじめます…。ここに在る男は、永田…」

頼むから、トチるなよ。

コイツ、本気で覚えが悪いから心配で心配で。

「ここに在る女は…」

相変わらず、落ち着きねぇな…コイツは。

全然、視点が定まってないし。

「神の導きにより、運命の出逢いを果たした二つの魂は、神の導きにより永遠の愛を、二人はここで授かります。よって、あなたがた二人はその神に、その愛の深さを誓わなくてはいけません…」

トシコはチラッと俺を見た。

…チューッじゃねぇよバカ!

ふざけんなっての。

「私の後に続いて言ってください…」

< 87 / 92 >

この作品をシェア

pagetop