smell sweet
「そんなの、私の彼氏のほうが何考えてるか、わかんない」



今度は、エリリンがため息をついた。『映研のマドンナ』は、オレ様風彼氏に振り回されていた。


「ヒロくんは、ね。たしかに…」



「それに比べりゃ、むーさんなんてかわいいもんよ?」



「でもね…付き合って1年になるのに…キスもまだなんだよっ?やっぱりノリで付き合ったから」


私のこと、好きじゃないのかな?そう口にしようとしたら悲しくなったから、やめた。



「むーさんは生真面目だから仕方ない。きっと、およねさんに触れるのも怖いくらい、好きなんじゃないの?」



ふっ…。思わず鼻で笑ってしまった。



「そんな感じじゃない」


「でも、いつも手を繋いで、さ。およねさんを大切にしている感じがするよ?」



「あれは、私が繋いでるからだよ…」



はぁ…。
2人揃ってため息をついた。恋する乙女のため息である。



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