犬系な彼の飼い主はじめました!?
「早馬って…」
「バカだよ。相当のバカ」
下から聞こえて来た声の持ち主は健祐。
「何、新崎は頭が良いって言いたいわけ」
呆れたように桜田が言ったことに 苦笑いした。
「なんか俺が登場したからドロドロになっちゃう?」
「健祐、帰ろうぜ」
健祐がこんな場所にいたら面倒で。
「え~、せっかく色んな話が聞けると思ったのになぁ」
「帰ろうぜ、健祐」
もう一度促しても健祐が動く気配はない。
「奈田さんとさっき話してたんだけどね」
「…」
「俺、奈田さんのこと好きだからさ。今ごろ真言と別れる決心決めたんじゃないかな」
「…健祐さ、」
「ん?」
「憂樹で遊ぶのだけは辞めろ」
俺は階段を足早に下りる。
憂樹。
「憂樹!」
叫ぶとビクンと跳ねる肩。
「早馬、くん…」
「一緒に帰ろ」
「あ、あのさ…」
「帰ろ」
自分の荷物を取りに憂樹の手を引っ張って教室に戻ろうとした時。
手をブンッと振られて。
その手は離れた。