モン・トレゾール

*


マンションまでの帰り道。


今日の出来事を思い出していた。


会社でのあの態度とさっきのあの言葉。


確かに自分でも少し浅はかだったとは思う。


誰でもあんなシーンは他人には見られたくないはず。


だけど、あんなに怒ることないじゃない!


そう考え出すと、今度は段々と怒りが込み上げてくる。


それに、それに……








『ダサ女』








「……やっぱり、この服がいけないのよ!」


そんなことをブツブツと口にしていると、あっという間に自分のマンションの前まで来てしまった。


もう絶対こんな服着ないんだから!


そう心に固く誓い鍵をまわすと、私はようやく自分の部屋の明かりがついていることに気づいた。
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