きみと繰り返す、あの夏の世界

【XVIII】心地よさ



水樹先輩の住む家は、この辺りには珍しい綺麗なマンションの5階にあった。

清潔感のある広いエントランスに開放的な外廊下。

緊張しながらくぐった玄関には背の高い観葉植物が置かれていた。

そして、六畳ほどの広さがある先輩の部屋の窓際にも、どっしりとした樹元の観葉植物がひとつ。


確か、ガジュマルという名前だ。

私がまだ小さい時に、お父さんが幸福を呼ぶ樹だからと買ってきたからなんとなく覚えてる。

現在はもう家にはないけど……


ガジュマルさん。


もしかして今のこの状況は、ガジュマルさんのおかげでしょうか。


だって。


大好きな人の家にお邪魔してるだけでなく……



大好きな人のルームウェアまで着ちゃってるんです私!



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