きみと繰り返す、あの夏の世界

【XXIII】きっかけ



帰りの電車の中で、私たちは話し合った。

まず言えるのは、神隠しはただの噂ではなく、本当にあるのだということ。

高杉さんから聞いた話は曖昧なものが多かったけど、その人柄もあり、嘘ではないと全員が感じていた。

妄想や病気で騒いだ線もありえない。

だとすると、確かに、人が消えているのだ。


えっちゃんという、女生徒が。


そして、藍君が学校で見たという女性。

その人はもしかしたら、高杉さんが探していた彼女さんでは、という可能性。

だけど、やはりそれらをはっきりと確かめる手段はなく。

とりあえず、私たちは日が暮れる前に解散したのだった。


そして、週が明けた月曜日のこと。

朝、生徒会室に入ってきた赤名君が私たちに向かって両手を合わせて言った。


「皆さんの夏をお金に換えませんか! いや、換えましょう! 換えるチャンスですっ」と。



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