-The Real Me-
「きゃっ、………」


 午前3時。少女は布団から飛び起きた。

「ハァハァハァ……ま、また……」

 額、首筋から大量の汗が。まだ肌寒い、とても寝汗などかきそうにもない二月の夜だった。


 翌日、少女の通う学校では大変な騒ぎが起きていた。

「オイ聞いたかよ!?」

「マジ、怖ぇーよまたかよ!?」

「昨日の帰りだってぇ」

 ドクン、ドクン、ドクン。少女の胸の鼓動は高まり、身体は熱くなっていた。

 少女は群衆の中に、顔馴染みの男子を見つけると、震える声で尋ねた。

「中条君…お、襲われたのって誰なの……」

「あぁ、吉野。まただ……また殺されたらしい。今度は山口だよ、お前と同じクラスの山口理沙だ…」

「や、山口さんが……」

 その相手は、紛れもなく、昨夜少女が見た夢の中で襲われていた生徒だった。


 そして、少女は笑った。

 勿論表には出さずに。心の中で笑った。
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