淋しいお月様
派遣社員なんて、誰でも出来る仕事だし、替えだっていっぱいいる。

私も、私にしかできない何かがあればなあ。

「星羅ちゃん、明日は仕事?」

「うん」

「俺、ちょっと自分ちの片付けしたいから、昼間は帰るね」

立川絵里と会うのかな……。

こころの隅で、ちらっと思って、ぎゅぅって切なくなった。

「そう」

私は平静を装った。

「ちゃんとお弁当は作るし、晩ご飯の時間には仕度して待ってるよ」

私は自然と笑顔になる。

「……嬉しい」

「そう言ってもらえると、俺も嬉しいよ」

そうして、セイゴさんは私のあたまを撫でた。

心地よい胸の高まりを感じた。

こころは、通い合ってる。

そう思っても、いいよね……?

前は拒んだけれど。

私、今なら、セイゴさんとキスできる心境――。
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