淋しいお月様
私を自慢したいんじゃなくて、私がタクミと知り合いだってことを自慢したくて、みんなに紹介しているんじゃないか……。

そんな思いが、湧き上がってきた。

「……私、ちょっと、おトイレ……」

そう呟くと、私はその場から逃げるように個室を出て行った。

このまま、帰ってしまおう。

そう思った。

もう、私がタクミの知り合いだっていう、静哉の自慢話も済んだことだし。

それに、私はもう……。

静哉のことは、彼氏だと思えない。

私はやっぱり、セイゴさんのことが、好きだ。

立川絵里がいたとしても、好きだ。

この気持ち、ちゃんと伝えよう――。
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