お姉ちゃんの憂鬱
事件は無事解決した。
「かなちゃんは甘い。」
ただ、納得していないのが一人、いや、一匹だけいた。
「いいじゃないの、ちゃんとみんな謝ってきれいさっぱりおしまい。めでたくはないけどバッドエンドじゃなかっただけマシでしょ。」
学校から帰宅して、自室でくつろぐあたしの背後にはおんぶお化けが再来していた。
「あんな変態ストーカーみたいなやつをごめんなさいだけで許すなんて普通しないよ。」
「じゃああたしは普通じゃないんだわな。」
「今後こういうことがないか、オレは心配でたまりませんよ。」
「大丈夫でしょ。」
「またそんな楽観して…」
後ろを振り向き、誠と向かい合うように座る。
「だって、誠が守ってくれるっしょ?頼りにしてるから、ちゃんと守ってよね?」
少しだけ上にある目を覗き込めば、うあーっと謎の鳴き声を上げて抱き付いてくる誠。
「かなちゃんはズルい。卑怯だ。そんなこと言ったら俺がよろこぶってわかって言ってるんだ。」
「何、守ってくれないのかい?」
「そんなわけないでしょうが。」
「あたしも誠に何かあれば守るから。なんかあったら言いなよ?」
「あーもうかなちゃん可愛い。好き。大好き。」
「わかったわかった。今日夕飯食べてく?」
「その前にかなちゃんを食べていきます。」
「ダメです。」
「…あれ、今さっき愛を確かめあったはずなのにおかしいな。」
「おかしくないおかしくない。」
抱き付いてくる駄犬を引きはがしリビングへ足を向ける。
後ろで駄犬がなんか吠えていたが、聞こえないふりをした。