お姉ちゃんの憂鬱

いつものファミリーレストランで昼食をとり、春休みは何をしようかと計画を立てて帰ってきた。

花見がしたいと主張する直くんだったが、春休みの間はまだ咲いていないだろう。




家に帰ると誠がいた。

部活のミーティングがあったはずだが、思ったより早く終わったみたいだ。



こいつ最近自分の家より三船家にいる時間の方が長いんじゃないのか…?

二人で部屋でぼーっとしながらたまに会話をする。そんな穏やかな時間が好きだ。





「かなちゃん、本当に先輩たちと仲良しだよね。」


「そうかな。」


「そうだよ。」




確かに、今までのあたしの友だち付き合いとは明らかに違うな。



今までは上辺だけの付き合いしかしてこなかった。それは、周りの友だちもあたしに対してそう言う接し方をしてきたからだ。


たぶん、似たような雰囲気を察知して、1人にならないようになんとなくの『友だちごっこ』をしていたんだと思う。



だから『友だちごっこ』をしていた相手が誠目当てになっていったり、いつの間にか他のグループに混ざっていて一緒に遊ぶことがなくなっていったりしても、そんなに悲しくなかったんだろうな。


気づいたらもう、そうやって自分で壁を作るようになってた。




そんなあたしのよわっちい壁をぶっ壊してずかずかと中に入ってきてくれたのがまどかとさぁちゃんだ。

あたしの考え方に共感してくれたのが直くんで、認めてくれたのがメグ。


そしてなにより、あたしみたいなよわっちい人間に心を開いてくれたのがこの4人だ。



4人のおかげであたしはあたしとして、自分の想いや考えをみんなに伝えることができた。

あたしも今までのような上辺だけの『友だちごっこ』じゃなくみんなにぶつかれたと思う。






< 330 / 335 >

この作品をシェア

pagetop