堕ちてくる
狭間
団地の七階。それは、彼にとっては実に微妙な距離だった。空は遠く、地上で起きている事はわかってしまう。いつも彼は思っていた。もっと、もっと空へ。まるで、何かを訴え続けるかのように、いつまでも、いつまでも空を見ていた。
ふと、窓の下を眺めてみる。下校途中の中学生達が、ふざけながら走っている。
「くだらないな。」
別世界の光景を眺めるように、冷めた言葉を吐き捨てた。
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