社長に求愛されました



「懐かしいでしょ、久しぶりだから」

綾子に辞表を託した翌日、久しぶりに洋子の家に戻ったちえりを迎えたのは、大量のお説教だった。
もう全然帰ってこないんだから!に始まって、元気だったのか連絡くらいよこしなさいそんなんだったら家に戻らせるから、と数々の小言が一気にちえりに降りかかり……。

五分ほどたったところで、ようやくいつものトーンに戻った洋子と会話らしい会話をするところまでたどり着く。

「先週来たじゃない」
「あんなちょっとじゃ帰ってきた数には入らないのよ。それに私がいない間にお父さんとちょっと話して帰っちゃうんだから!
でもまぁ元気そうで安心したわ。一人暮らしでもきちんとしてるみたいね」
「うん。せっかくおばさんがひとりになる環境与えてくれたんだもん。
独立して頑張らないとね」
「でも、無理はよくないわよ。家だってそんなに離れてないんだから、夕飯くらい食べにきなさいね。
お弁当なら大体いつも余ってるんだから。最近は特に。
私たちも歩も慎一くんも、ここ一週間はずっと残り物のお弁当生活よ」

まいったわとため息を落とす洋子に、ちえりがそういえば、とある事を思い出す。





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