社長に求愛されました


申しわけなさそうに言う洋子に、ちえりが目を泳がせる。

仕事ではなかった。まだ始業時間でもなかったし、会社にすら行っていない時間帯だ。
けれど……篤紀と一緒にいたのは紛れもない事実で。

どう説明するべきかと頭を悩ませていると、何かを察したのか洋子が「もしかして……」と呟く。

「もしかして……さっきちえりちゃんが言ってた好きな人って、黒崎さんなの?」

隣に篤紀がいる状況でのこの質問は、ちえりにとっては羞恥プレイもいいところだった。

……が。
困惑しながらも、自分の気持ちを誤魔化さないと覚悟を決めたちえりがこくんと頷き。

それを見た篤紀は、ちえりの行動に驚いた表情を浮かべた後、それを柔らかい、嬉しそうな微笑みに変えた。







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