蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
「あ。そう言えば、可愛いお孫さんが居られると噂を聞いたのですが、こちらには来られないんですか?」
拓郎は、ここぞとばかりに藍の話を振った。
なるべく、うわさ話をするような気軽さを装ってはいるが、警戒されるのではないかと内心はヒヤヒヤものだ。
「ああ。お嬢様は、体があまり丈夫ではないので、ここにはほとんど見えませんよ」
体が、丈夫じゃない?
藍が?
「そうですか、残念です。私もどうせなら、可愛らしい方の取材の方が、楽しいんですが……」
「まあ!」
受付嬢はクスクスと、愉快そうに笑った。