蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

「う…ん……」

藍がゆっくりと、目を開ける。

拓郎は、その右手をぎゅっと握った。

「……た、くろ?」

まだ覚醒しきらず、声の出ない藍に拓郎は首を振る。

「私が、呼んだのよ。あなたを、連れってってもらう為にね!」

日掛藍が目尻を指でぬぐいながら、言う。

「で、も、そう、した、ら、あなたが……」

のセリフを引ったくるように、

「でもも、へちまもないの! ばかね……。何故、戻って来たりしたの? せっかく、自由になれたのに。おかげで、変な時にお祖父様は来ちゃうし、こっちの計画がめちゃくちゃよ、もう!」

そう言って、腰に手を当て、プン! と頬をふくらませた。

「計…画?」

「そう、とっておきの、計画!」

そう言うと日掛藍は、ウィンクを一つ。

そして、満面の笑みを浮かべた。



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