蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

ただ、問題が一つ。

それは、コールド・スリープの技術的な問題。

今現在、コールドスリープに入る技術は完成された。

しかし、その覚醒技術が未完成である事。

医療技術の進歩と、コールドスリープの覚醒技術の完成。この二つが揃わなければ、彼女を起こす事は出来ないのだ。

「だからね、私が眠りに就いてしまえば、さすがのお祖父様でも、どうする事もできないの。あなたは、もう自由なのよ、藍」 

「でも……」

「大丈夫。心配しないで。私は、きっといつか目覚めて、元気な体になって、あなた達に負けないくらい幸せになってみせるから!」

その笑顔には、何の迷いも見られない。

「だからあなたは、彼と幸せになりなさい。いい人じゃないの。さすが我が分身! 男を見る目は確かね! 」

そう言って彼女は、「うんうん」と納得気に微笑んだ。

その微笑みの裏にある、侵しがたい確かな覚悟を、拓郎も藍もひしひしと感じていた。







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