蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
藍は年に似合わず、心の動きを素直に表情に出す。それは実に分かり易く、単純明快で裏表がない。
都会に暮らし慣れた拓郎には、それは新鮮でとても好ましく映った。
「あ、あと、あごの下も撫で撫でポイントだから」
藍は言われるままに、あごの下をこちょこちょ撫でててみる。
猫は撫でやすいようにクイッと喉を上げて、気持ちよさそうに目を細めた。
正に恵比寿顔。
幸せそうなその顔は何だか笑っているように見えて、拓郎と藍は顔を見合わせてクスクスと笑いあった。