*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
*
「ーーー群雲!
たいへんだよっ!!」
ぱたぱたと駆け寄ってきた糸萩に気づき、群雲はすすっていた茶をごくりと飲み込んだ。
「ん? どうした、糸萩」
糸萩は慌てた様子で群雲の前に立ち、息を整えてから報告を始めた。
「青瑞の姫の占い処、空になってた!」
「………え? どういうことだ」
「よく分かんないけど………周りにいた人たちの話によると、青瑞の姫をさらおうとした不届き者が占い処に踏み込んできて」
「…………灯じゃないか」
「うん………火影童子が出たって騒ぎになったらしい」
「は!? ばれたのか!!」
「そうみたい………」
群雲と糸萩は顔を見合わせて、深く溜め息を吐き出した。
「…………それで?」