*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫








「ーーー群雲!


たいへんだよっ!!」






ぱたぱたと駆け寄ってきた糸萩に気づき、群雲はすすっていた茶をごくりと飲み込んだ。






「ん? どうした、糸萩」






糸萩は慌てた様子で群雲の前に立ち、息を整えてから報告を始めた。






「青瑞の姫の占い処、空になってた!」





「………え? どういうことだ」





「よく分かんないけど………周りにいた人たちの話によると、青瑞の姫をさらおうとした不届き者が占い処に踏み込んできて」





「…………灯じゃないか」






「うん………火影童子が出たって騒ぎになったらしい」







「は!? ばれたのか!!」







「そうみたい………」






群雲と糸萩は顔を見合わせて、深く溜め息を吐き出した。







「…………それで?」







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