*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
「なっ、何をする!?」





無理やり引きずられるように歩かされ、息吹は必死の抵抗を試みる。




灯は軽く眉をひそめると、一瞬息吹から離れ、間髪入れずに首の後ろを手刀で打ち据えた。




ぐっとくぐもった声で唸り、息吹が呆気なく失神する。




力を失った身体が崩れ落ちかけたのを、灯はさっと受け止めた。





そして、幹に巻きついていた蔦をぶちぶちと片手で千切り、手際よく息吹を樹に縛りつけた。






灯はそのまま立ち去ろうとしたが、その瞬間に息吹の意識が戻った。






「……………なっ、なんだこれは!」






自分の状態を把握した息吹が、屈辱に顔を赤くして叫びを上げる。




しかし灯はちらりと一瞥をくれただけで、黙って藤波の後を追った。







「〜〜〜〜〜くそぉーーーっ!!


火影童子め………っ!!



覚悟しておけよ!!」








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