*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
泉の前で、きつい抱擁を交わしている青瑞の姫と天城。




少し離れた所で、なんだか恥じらいながら向かい合っている息吹と白鷺。








「…………………なんなんだ、これは」







灯は心底疲れ切った声で、目の前の光景を見る。







「よかったわねぇ、なんだかいろいろと丸くおさまって」







汀が嬉しそうに頷いた。




それを灯が呆れたように見下ろす。







「…………そもそも、お前が勝手なことばかりしでかしたのが全ての災難の元凶だ、ということだけは忘れるなよ」






「んまぁ、ひどい言い草ね」






「俺はお前のせいで死にかけたんだからな」






「でも無事に息を吹き返したんだから良かったわ。



私の口づけのおかげで!」







汀が小首を傾げながら言うと、灯が眉を吊り上げる。







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