*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫







「さぁて、帰るかぁ。


俺たちの山にーーー」






それぞれ勝手に幸せそうな青羽山の盗賊たちを置き去りにして、群雲を先頭に白縫党の面々は泉から離れた。





しばらく山を下ったところで、群雲が首を傾げる。





「……………ん?


なんか、忘れてるような………」






隣を行く黒松に目を向けるが、黒松も軽く眉を顰めて小さく首を振るだけだ。





汀と灯は顔を見合わせて考えるが、何も思い当たらない。






「まだ何かあったかしら?



青瑞の姫は鎮まったし、息吹は落ち着いてくれたし、全て上手くおさまったんじゃない?」





「…………そうだな」







そのとき、背後からがさり、と音が聞こえてきた。




一同、一斉に振り返る。






「……………あ」






声が重なった。







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