レンタル彼氏を使ってみました(仮)



「別にその必要はないよ」


「え?」


「そもそもミスしてないし。むしろ、完璧」



私は唖然とした。


脳がフル回転してる。



「なら、どうして……」


「俺がお前を呼び出すように仕掛けたんだよ」



さっぱり意味がわからない。



「俺のこと忘れたの?ひより」


「何言ってるんですか。部長は部長じゃないですか」


「一夜を共にしたのになぁ~いや、一夜っつうか三日かっ」



近くまで来ると顎に手を当てられる。


そのまま柔らかな唇を重ねた。


とろけるような甘い感覚。



「翔……?」


「お前、気づくの遅すぎ。俺はひよりが会社に来たときすぐに分かったのに……」


「本当に翔……?」


「変わってないなお前。そうやって疑うとこ」



崩れ落ちそうになる私を、彼は腰を持って支える。


私は彼の胸にすがり泣きついた。


何も言わず彼は受け止めてくれるのが嬉しかった。




もう絶対に会えないっと思ってた翔が目の前にいる……



これは夢なのかと疑ってしまうほどに……



でも、彼の温もりは確かにここにある。



私は、どうしようもなく嬉しくて、胸がいっぱいっぱいだ。



< 40 / 42 >

この作品をシェア

pagetop