「「言えない」」

日常


「遊月?ねぇ遊月ぃ~無視しないでよ~」

耳に障る声
甘ったるい声


だけど、

17年間飽きることなく聞き続けた声


「妃吏、ゲームしながら話しかけないで」

朝1番に見る顔
私の大事な幼なじみ



「テンション低すぎ!あっ遊月もやる?」

ほい、と差し出されるケータイ


「やんない。」

素っ気なく押し返す手のひら



何気ないいつもの会話


性格は真逆なんだけど、
なんだかんだいつも一緒で。








私と彼女は見た目から性格まで
全てが対照的だ




茶髪でボーイッシュな私に比べて
彼女は黒髪サラサラストレート



勉強においても
彼女はできて私はできない



口下手で思ったことを
口に出せない面倒くさい私と



素直で言いたいことを
はっきり言える彼女とでは



根本的に違うのだ




でも

私はそんな素直で
裏表のない彼女が大好きだった



「あいつは嫌いだけど...」

あいつ、それは妃吏の彼氏こと
バレー部主将
桐山 大史(きりやま たいし)




私の憎きライバル




よくも私の妃吏を...
「ん~?何~?何か言ったぁ~?」


ふ、鈍感女め


「べっつにー。
...てかあんたいい加減ゲームやめたら?
酔っても知らないよ。」


そう、ここは車の中。



妃吏のお母さんは心配症で
いつも妃吏の送迎をしている


私はたぶん、そのついで。





バカな妃吏のことだ
どうせまた酔うのだろう



「ごめ、も、酔った、」



...ぇ?



「え、ちょ!!」




こうして私の1日は始まる



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