箱入り結婚のススメ

愛情の裏返し


麻子の式が終わってしまうと、いよいよ自分の式の準備に忙しくなった。

秀明さんが海外に行っているときは、ひとりでウェディングサロンに行くこともあった。
だけど、担当の安永さんがとても親身に相談に乗ってくれたから、焦ることなく準備を進められた。


「速水様、お待ちしておりました。
実は、速水様がお似合いになりそうなドレスが入荷したんです」


サロンにはウェディングドレスが数えきれないほどあって、素敵な物もいくつか見つけていた。
だけど、"これ"という決め手がなく、保留になっていた。


安永さんに連れて行かれたのは試着室だ。

その部屋の大きな鏡の横に用意されていたのは、オフショルダーでプリンセスラインの素敵なドレス。
ふんだんに使われたレースが上品で、スカートの広がり具合も丁度いい。


「これ……」

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