仕事しなさい!
私は五階の自販機スペースまで逃走し、一息ついた。
ホットのミルクティーを買って口に含む。


あー、ヤツの顔を見た瞬間から生きた心地がしなかった。

社内イチの地味女。
イタタなプライベートを握られて、私はどうすりゃいいのかしら。


「やっぱり、ここだ」


階段の方から声が聞こえ、私は弾かれたように振り向いた。


「な、なんで?須賀くん……」


「安斉さんが逃げるからでしょ?ゆうべも今日も」


追いかけてきたのだ。
須賀くんは革靴をコツコツ鳴らして近付いてくる。


「考えてくれました?」


「……何を?」


「俺と付き合うの」


「イヤだってゆうべ言ったじゃない」
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