仕事しなさい!
「お兄さんを尋ねたら、今日泊まってる民宿を教えてくれたので、会いに来ました」


兄はきっと、須賀渡を私の『元カレ』だと思ったのだ。
そして、人助けのつもりで居場所を教えたに違いない。
最悪だ。


「帰って」


「話をさせてください」


「話すことない」


「俺はあります!」


須賀くんが一歩近付く。
ハーフパンツにおしゃれなサンダル姿の脚を見て、私は反射的に何歩か後退りした。

私の怯えた態度に、須賀くんが苦しそうな表情になる。


「お願いします。最後のチャンスをください。話、させてください」
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