仕事しなさい!
お化粧も下手なりに念入りに、且つ濃くなりすぎないように。
口紅もピンクベージュで、普段より少し明るい色。


……っていうか、私、須賀くん相手に何真剣に仕度してんだろう。
デートだって半ば強制なのに。

よし!今日は何があっても変なことされないようにしよう!
キスされそうになったら、全力で逃げる!!


「倫子さん、可愛いな!」


会うなり須賀くんが言ったのは、正直めちゃくちゃ嬉しかった。
私はわざと仏頂面を作る。


「普段と変わんないよ」


「違いますよ。メイクも変えてるし、服もすげー似合う。お団子も可愛い!男ってお団子嫌いなヤツいるけど、俺は断然肯定派!」


私の人生、男の人に褒めてもらえることってほぼ無かった。
頑張って仕度したのを気付いてもらえるって、努力が認められたように感じてしまう。

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